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― 出張で群馬高崎に滞在していたときの部屋の写真。



よしもとばななさんの「サーカスナイト」に出会ったのは
2016年2月出張先の群馬高崎のまちの本屋さんでした。
スーパーの帰りに立ち寄り出会いました。


表紙の綺麗なデザイン、イラストに惹かれ、手に取りました。
そしてパラパラとめくり、最後のあとがきに目がとまり、
そこには七尾旅人さんのサーカスナイトについて書かれていました。


旅人さんの音楽は2002年の春にリリースされた
「ヘヴンリィ・パンク: アダージョ」が当時からお気に入りで
今でも夜にラックから引っぱり出してはきいています。


私はふと予感がして、そのままレジに向かいました。


そしてこの本を読み終えた数日後に、父が亡くなりました。


お昼に病院で会い、その夜息を引き取りました。
さっきまで生きていた命がぽぅと消えました。
とても悲しくて涙が出ました。


母にサポートされながら喪主をつとめました。
葬儀屋さんで担当してくれたのは、地元の同級生の男の子でした。
不思議な再会で、朝方までこれからのことを打ち合わせしました。


親戚の皆さん、父がお世話になった方たち、友人の皆さん、まちの人たち、
今まで見えていなかった、父とつながっている人たちが目に見えて、
父はこのまちで生きていたんだなぁと、とても感じました。


みなさんの前でご挨拶するとき、自分のことばで挨拶をしました。
この時、これまで出会った人たちが私のこころに宿りました。


そして、ばななさんのサーカスナイトに綴られていることばがお守りでした。




ふたりが亡くなるときに
どんなに私のことを気にかけたか、
どれだけ強く祈ったかを考えるだけで
ありがたいと思う。

私はふたりにもらった時間だけで、
充分しっかりと今日も歩いているんだよ、
と話しかけずにはいられない。



いろいろな人がそうやって、
今いない人に話しかける言葉はきっと
目に見えない花になってどこかで咲いていると思う。




このページにはそっと付箋をつけています。




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― 実家の2階にある廊下。父の寝室前から。



先日、大阪の旅の途中、本屋さんで購入した、ばななさんの「お別れの色」には
青葉市子さんやマヒトさんが登場しています。


その物語の小タイトルは「旅を続けなくちゃ」




2017年4月に群馬の旅からの帰り、
東京の友だちふたりと西日暮里の飲み屋で集まったとき、
その初対面どうしのふたりが市子さんの音楽が好きで意気投合していて、
私はそのシーンがとってもよくて、
そのときから市子さんのことを気にするようになりました。


今ここで、写真やチケットの半券を見返すと分かったのが、
その2週間後にマヒトさんがボーカルをとるGEZANとの出会いを
私は名古屋でしています。




そして時が流れ、今年11月ハックフィン、
GEZANのライブできいた END ROLL、もう最高にドキドキしたのです。
GEZANは出会ってから何度もライブに行っていますが、
あの身体中の何かが全て出そうになる感覚、初めてでした。
本当に素晴らしく、真っ赤に染まるリアルでうつくしい景色がそこにありました。






私は旅をしながら、物語を紡ぎ、生きていこうと最近特に強く思います。


天国の祖母と父のみちびきと、私の感覚が入り混じり、
旅をする方角がいつも決まってゆきます。






もうひとつの世界の うつくしさと。


いま目の前にある うつくしいものと。





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― 父のお墓参りをしたときに赤く咲いていた花。